越境を支えるバウンダリー・スパナー

2024.06.01
こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。

チーム、部門、会社など、境界をまたいで活躍することが越境と表現されることがあります。こういった、越境は横断的な課題を解決したり、より創造的な発想を導くために重要です。この越境をする人を表すバウンダリー・スパナーという概念があります。

この記事では、バウンダリー・スパナーについて紹介し、その特徴や伸ばし方についてまとめます。

バウンダリー・スパナーとは?

 

バウンダリー・スパナー(Boundary Spanner)とは、異なる組織、部門、または文化の間で橋渡しの役割を果たす人物や機能を指します。彼らは、異なるグループ間の情報の流れを促進し、コミュニケーションを円滑にし、協力関係を築くことを目的としています。

変化の推進者・協力者としてのバウンダリー・スパナー

組織に変化をもたらしたい場合、推進者としてバウンダリー・スパナーを任用することは有効です。

また、協力者の中にもバウンダリー・スパナーを巻き込むことが有効です。

組織の変化には大小さまざまなものがあり、組織改革と言えるような抜本的なものもあれば、2つのチーム間の部分最適を解消し、全体最適にするというようなくらいのものもあります。それらの種類によって必要になる橋渡しの場所や数は異なります。例えば、前者の例の組織改革のケースなら会社中のステークホルダーと橋渡しをする必要があるでしょうし、後者の例のチーム間の全体最適の例なら2つのチームのみをつなげる必要があります。

以下にバウンダリー・スパナーが重要となる理由を挙げます。

情報の橋渡し能力

バウンダリー・スパナーは異なる部門や組織、文化の間で情報を効果的に仲介できるため、組織全体への変革を巻き込みやすくなります。

ネットワークの広さ

バウンダリー・スパナーは広範なネットワークを持っており、変革のために必要なリソースや支持を迅速に集めることができます。

調整能力

組織変革には様々な抵抗が伴うことが多いですが、バウンダリー・スパナーは異なる文化や価値観を理解し、調整する能力が高いため、抵抗を最小限に抑えながら変革を進めることができます。

バウンダリー・スパナーになる人の特徴

バウンダリー・スパナーになる人は、以下のような特徴を持っています。

自分ごとの範囲が広い

バウンダリー・スパナーになる人は、自分ごとの範囲が広いと考えることができます。これは、自分の役割や責任を自分の部門や組織にとどまらず、他の部門や組織まで広げることができる人々であるためです。

他者志向性

バウンダリー・スパナーになる人は他者のニーズや問題に敏感であり、他人の成功や成果を重視する姿勢を持っています。これは、異なるグループや組織の間で協力し合うための基盤となります。

コラボレーション

境界の外にいる人々と協力する経験は、自然とコラボレーションスキルを育てます。これにより、バウンダリー・スパナーになる人は複雑な問題に対する多角的なアプローチを理解し、実践できるようになります。

柔軟な思考と適応力

バウンダリー・スパナーになる人は異なる背景や状況に対処する必要があります。そのために柔軟な思考と高い適応力が求められます。境界を越えて活動する経験がこれらのスキルを強化します。

多様なネットワーク

バウンダリー・スパナーになる人は境界の外で活動することで、さまざまな分野や文化の人々とつながり、広範なネットワークを構築できます。これは、情報やリソースを効果的に活用するために重要です。

バウンダリー・スパナーになる人を育てる方法

バウンダリー・スパナーの特性を持つ人々は、さまざまな経験や環境によってそのスキルを身につけていくことが多いです。以下に、バウンダリー・スパナーが育つきっかけや、それを意図的に育成するための特徴や方法について説明します。

多様な経験の提供

異なる部門やプロジェクトの経験をする機会を提供する方法があります。例えば、クロスファンクショナルチームや部門横断のタスクフォースに参加させることで、さまざまな視点やスキルを身につけてもらいます。

横断的なつながりを広げる機会を提供

社内外での交流会を開催するなど、幅広いネットワークを構築する機会を提供する方法があります。

コミュニケーションスキルの訓練

横断的な活動をするうえで必要となる効果的なコミュニケーションや交渉のスキルを向上させます。実践研修をしたり、経験とふりかえりの機会をセットで提供するなどの方法があります。

広く役立つ強みを強化する

広く役立つような強みを伸ばす方法があります。際立った強みを持つ人は横断的な取り組みへの協力を求められる機会が増えやすくなるためです。強みを元にしてより広い範囲の人を助けることで、信頼をもとにした関係を広げやすくなります。

バウンダリー・スパナーの具体例

私が過去に働いた「この人こそバウンダリー・スパナー」という人は以下のような行動をとっていました。
  • 他の部門、他のチームの相談や頼みがあれば率先して協力していた。仮に自分が未経験の取り組みであっても協力していた
  • 自身の経験を惜しみなく社外に発信していた
  • 境界をまたぐような難題に対して、ひるまず、むしろ好奇心を持ち、楽しそうに対応していた
  • 他者への感謝の言葉を欠かさず発していた
  • 他者への称賛を惜しみなく発していた
  • 他者に対する陰口を決して口にしなかった。仮に当人以外が誰かの陰口を言っていたとしても、そこに絶対に乗っからなかった
これらの結果として
  • 関係各所から圧倒的な信頼を得ていた
  • この人が昇進すると周囲の全員が喜んでいた
  • リファラル採用で継続的に人を紹介し、継続的に紹介した人が入社に至っていた
という状況になっていました。

まとめ

バウンダリー・スパナーの特徴や伸ばし方についてまとめました。

仕事において、責任範囲が広くなるほど境界を越えないと解決できない問題が発生することは珍しくありません。その際に、境界の先にいる相手と協力しなければ、問題を解決できません。自分自身がいきなりバウンダリー・スパナーになることは難しいかもしれませんが、まずは既存のバウンダリー・スパナーを巻き込み、その振る舞いをみて学びつつ自分も渦中で経験をしていけるとよいでしょう。

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